何もしないほうが得な日本

おしごと
何もしないほうが得な日本

「最近の文庫本は高いな」と思いながらも「ハードカバーよりはいいかな」とか「電子書籍はちょっと」とも思うので、結局選択肢としては文庫本が一番いい。

12月になって購入した「何もしないほうが得な日本」という本。どうやって得をするかという手法ではなく、帯にも書いてますが「日本の会社はなぜ生きづらいのか、その理由がすべて書いてある」「挑戦を生まない組織をどう変えるか」など、主に現状分析について書かれた本です。サブタイトルとして「社会的に広がる「消極的利己主義」の構造」とあり、自分の感じていることに対して何かヒントになりそうだと、本のタイトルと帯で購買意欲を刺激されました。

分析としては「そのとおり」と思えることが具体的に書かれていて自分なりにも整理できたと思いました。会社としては共同体組織であり、終身雇用からくる集団的無責任体制、評価制度における減点主義にやる気アピール、目標管理も形式的、評価制度からくる余計な仕事がまわってこないような立振舞い、損得勘定、結果としてモラールダウンへ繋がるなど。損得勘定から損得感情となりチャレンジすることへ後ろ向き、利益共同体となり同調圧力から消極的利己主義となってしまう構造。総論賛成各論反対となる構図。

出る杭を打つ嫉妬や孤立など負の報酬、出る杭にならないようにしたほうが得という構造。これは、沖縄特有なのかと思っていましたが、日本全般としてもそうなのかと。「沖縄から貧困がなくならない本当の理由(樋口耕太郎著)」に書いてあることと同様な内容でしたので興味深かったです。

結果として、組織の空洞化が進みやがては社会の存続すら危うい、そのためには「するほうが得」な構造に変える必要がある。手法についても書かれていますので、そこについては読んでもらいたいですが、15年前くらいに私が考えていたことを思い出しました。そのころは担当者として結構頑張っていた時期でしたが、「終身雇用である正社員の給与を思い切り下げて、契約社員の給与を上げればいい。毎年真剣勝負できる人材を査定し契約の可否、もしくは給与の大幅な変更をする仕組みであれば、結果を出すために頑張れるだろうし、終身雇用で守られている人材も頑張れる時期は契約社員となり、育児や介護など家庭環境で頑張れない時期は正社員として低賃金で働くなど正社員と契約社員の位置づけを大きく変えて流動化することができれば、適材適所が進むのではないか、より熱意を持った若い人材が活躍する場を提供できるのではないか」なんてことを考えていました。

人口の年齢階層から若い人材が活躍できる仕組みが必要だなと、チャレンジすることで評価する仕組みがないと変わっていけないだろうなと。減点主義では変わらない、そんなふうに考えてしまいます。そんな現状で50歳目前の私が何ができて、どう変えていけるのか、組織上の権限としてはほぼ無いに等しいことからすると、周りのマインドセットを変えていけるような働きかけくらいだろうか。もうそんなに先が長くないので、周りを気にせず出る杭になっていけるかどうかなのか。具体的にアクションプランまで立てられてないことからすると、きっと集団的無責任体制に慣れきってしまっているからかもしれない。

忘年会などでは、組織はこうあるべきなど大きいことを言ってしまいがちだが、結局のところ若手から見ると逃げ切り世代として扱われるのは間違いない。どうにか抗って周りに変化を与え承認欲求が満たされるような仕事をしていきたいなと。忘年会でいろいろな組織論が話されているのを聞いていてふとそう思った。

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